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田村景子『希望の怪物ー 現代サブカルと「生きづらさ」のイメージ』※新本

¥1,980 税込

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さまざまな怪物たちが、今、フィクションの世界を跋扈している。
人につくられた巨大な破壊神、人間ならざるものと人間との融合、DNA操作をされた特異な身体から、吸血鬼、ゾンビ、殺人鬼、そして人間を侵し社会を侵す疫病神まで。
なぜわたしたちは、かくまでに怪物に魅せられるのか。
正体不明の怪物は、人間にあたえる恐怖によって日常を揺るがし、あたりまえの日常に破滅的な危機がせまるのを知らせる異様な警告者である。
例えば、地震や津波を怪物にみたてることで災厄を意識化させたように。
例えば、疫病の流行に先んじてあらわれる怪物が、疫病を可視化し、衛生状態の改善をうながすように。
例えば、統治を脅かす怪物が、権勢によって滅亡に追いこまれた人々の存在を忘れさせないように。
社会の大変容にわずかに先立ち、または社会の大変容とともに、フィクショナルな怪物たちはくりかえし登場してきた。
本書は、バブル狂乱の1980年代から、1990年代のポスト冷戦の混乱をくぐり、新しい戦争が世界中に広がった2000年代、3月11日の破局からはじまる2010年代、そしてコロナ禍と侵略戦争の現在まで――、この40年間たえまなく、きわめて特異で魅力的な怪物を輩出してきたサブカルチャーにおける怪物たちの表象を考察する。
マンガ・アニメ・ライトノベルなどに描かれた怪物たちは、いかに跳梁し、なにを警告し、その先にいかなる希望を見いだそうとしたのか。それは、世界に変化を求めつづける希望の怪物たちと、「生きづらさ」に苦しみ、なお生きようとするわたしたちとの、かすかで不断な共闘の記録である。

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